【ウェビナーQ&A】 4月22日開催 ついに始まった「70歳就業法」に企業が取組むべき課題とは?
2021年4月22日(木)に開催いたしましたウェビナー『ついに始まった「70歳就業法」に企業が取組むべき課題とは?』で参加者の皆様からお寄せいただきましたご質問と回答をご紹介いたします。
セミナープログラム
テーマ:ついに始まった「70歳就業法」に企業が取組むべき課題とは?
- 第1部:「70歳就業法」のポイント解説と企業の対応
70歳就業法のポイントを解説し、高年齢者雇用の最新動向を交えながら、企業が取組むべき70歳就業法の対応についてご紹介します。 - 第2部:質疑応答
皆様からお寄せいただきました質問に講師がお答えするコーナーです。
ウェビナー情報詳細
- 日時 : 2021年4月22日(木)16:00~17:00(視聴開始15:55)
- 会場 : ウェブセミナー(Microsoft Teamsライブ配信)
- 講師 : 向井 洋平(クミタテル株式会社 代表取締役社長 年金数理人・AFP) 講師プロフィール
ウェビナーQ&A
No. | 質問 | 回答 |
1 | 70歳就業法への対応については今すぐ70歳まで希望者全員一律雇用確保措置を講じることはできず、シニア向け人事制度改定やキャリア自律・開発支援などの施策が不可欠であると考える。 これらの施策の運用効果を見極めないと70歳までの雇用延長は人件費増大により難しいというのが多くの企業の本音だと思うが、ある程度長期の目線で取り組むということで問題はないか? 何もやっていないと、労働当局から是正勧告を受けるという話を聞いたことがあるがそれは本当か? |
長期目線で取り組む必要があるというのはその通りであり、だからこそ、すぐに就業確保措置を実施することができないとしても、検討には着手して順次施策を打ち、運用状況を見極めながら改善を図っていくことが求められます。 厚労省のQ&A②によると「まずは検討を開始していない事業主等に対して、制度の趣旨や内容の周知徹底を主眼とする啓発及び指導を行う。」としており、いきなり是正勧告を受けるというようなことはないと考えますが、将来的に法律やガイドラインが改正されたときに慌てなくていいように準備を進めておくことが重要です。 |
2 | 再雇用制度の場合、60~65歳と65歳以降では処遇を変えている事例はあるか? また、処遇を変える場合の注意点についても教えてほしい。 |
役割と処遇をセットで変えている例として、再雇用後65歳までは役割評価に応じたランク別の賃金表、65歳以降は定型的な業務で単一の賃金表としているケースあります。 その他、65歳で処遇を変えている例としては、フルタイムから原則パートタイムや週3日、4日勤務に変わることで月給制から時給制や日給制に変えているケースが多く見られます。 こうした例にみられるように、処遇の変更は役割や仕事の内容、働き方の変化に応じて行うことが適切です。 |
3 | 創業支援等措置の一つに「④高年齢者が希望するときは、70 歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」があるが、この中の「継続的」とは、例えば「月1回、業務に関するアドバイスを受ける」等、頻度や内容面に関して何か制約はあるのか? | 厚労省のQ&A⑳によると「例えば月数回程度、年数回程度など、定期的に業務を委託する計画内容・契約内容であり、労使間の合意があれば認められるか。」という質問に対して「労使間で十分に協議の上で、労使双方とも納得の上で定められたものであれば差しつかえない。」とありますので、基本的には労使協議に委ねられていると考えて問題ありません。 |
4 | 同じく創業支援等措置の一つである「⑤高年齢者が希望するときは、70 歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入」に「b. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業」があるが、この法制度の主旨に沿って、各社から委託または資金提供を受けて、社会貢献事業を実施しているような団体はあるか? | 現時点ではご質問あるような、法制度の趣旨に沿った形で社会貢献事業を実施している団体等についての事例は把握していません。 ただ、企業によっては社会貢献活動のために基金を設けて、従業員や退職した社員が活動に参加している子ども向けのスポーツクラブや環境保全団体を対象として資金援助を行っているケースや、関連企業や財団法人を設立して文化施設等の運営を行っているケースがあり、そうした活動の延長線上で創業支援等措置としての社会貢献事業を実施することは考えられるかもしれません。 |
5 | 65歳以上の雇用においては健康管理が重要になると考えるが、工夫されている事例があれば紹介してほしい。 | 健康管理に関する取り組み事例としては、健康診断の頻度を年1回から年2回に増やしたり、健康診断の結果について説明を受ける機会を設ける例、月に1回産業医に健康相談ができるようにしている例などが見られます。 そのほか、運送業や建設現場などでは年齢にかかわらず安全確保のために就業開始前の健康チェックを行っている例もありますので、そうした取り組みも参考になると考えられます。 |
6 | 70歳までの就業確保措置を実施する場合は、通常の労働条件の変更と同じように、就業規則の変更が必要か? | 就業規則の変更が必要となります。具体的な記載例は、厚労省のQ&A⑥を参照ください。 |
7 | 弊社では60歳定年で65歳まで再雇用としているが、社歴が浅く、まだ定年を迎える社員が出ていないため、70歳までの就業に対してイメージできていない。 今からできることがあれば教えてほしい。 |
まずは65歳までの雇用確保に向けて体制を整備し、その運用状況を見極めたうえで70歳までの就業確保に取り組んでいくというステップで進めていくことが考えられます。 社内で定年退職者の前例がなく、定年後の人材活用や働き方についてイメージすることが難しい状況においては、経営層のほかマネージャーやベテラン社員本人に対するヒアリングや意識調査などにより社内の状況を正しく認識し、課題を共有するところから始めることが重要です。 |
8 | 65歳以降の雇用について、社員には60歳時点で希望を聞き「65歳でやめる」といっていた社員が、65歳直前で「やめない」といった場合でも、70歳迄就業させないとダメか? | 厚労省のQ&A⑪では、高年齢者就業確保措置を利用する希望があるかどうかを聴取するのは65歳の直前でなくても構わないとされていますが、あまりに早いタイミングでは雇用する側もされる側も状況が変わる可能性が高くなります。何らかの理由により60歳時点で希望を聞く必要がある場合は、その理由も含めて十分に説明しておくことが望ましいでしょう。 |
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出口 (イグジット) を見据えたシニア雇用体制の確立をしましょう
労働力人口の減少と高齢化が同時進行する中、雇用の入口にあたる採用、入社後の人材育成・開発に加え、出口 (イグジット) をどうマネジメントしていくかが、多くの企業にとっての課題となりつつあります。特に、バブル入社世代が続々と 60 歳を迎える 2020 年代後半に向けて、シニアの雇用をどう継続し、戦力として活用していくのか、あるいはいかに人材の代謝を促進するのか、速やかに自社における方針を策定し、施策を実行していくことが求められます。多くの日本企業における共通課題であるイグジットマネジメントの巧拙が、今後の企業の競争力を左右するといっても過言ではありません。
シニア社員を「遊休人員化」させることなく「出口」へと導くイグジットマネジメントを進めるために、まずは現状分析をおすすめします。