イグジットマネジメントの方向性direction
イグジットマネジメントにおける「出口」とは直接的には退職を意味するものですが、重要なのは出口に向かう過程を含めて考えることです。大きな方向性としては次の3つが考えられます。
生涯現役型
1つ目は年齢にかかわらず活躍できる場を用意し、適正に処遇することで、本人が引退を決めるまで組織内で意欲を持って働き続けられるようにすることです。ダイバーシティ(多様性)推進の一環と捉えることもできるでしょう。人材マネジメントを考える上では、健康の維持や加齢に伴う身体機能の低下への対応といった観点も必要になってきます。
進路選択型
2つ目は組織内で求められるシニア社員の人材像や処遇を提示しつつ、どのような道を選択するのかは本人の意思を尊重する考え方です。シニアの雇用についての会社の考え方や用意している仕組み、限界を明示したうえで、本人の主体性をいかに引き出すかがカギとなります。
転身支援型
3つ目は組織外への転進を積極的に支援していく考え方です。社員の自律意識が高く、仕事を通じて実際に転職・独立できるような実力を身に付けられることが前提となります。そのうえで、転進を後押しするような仕組み(例えば退職金の上乗せなど)を用意していくことになります。
どの方向性をとるにしても、社員が組織の内外で活躍し続けられるようになるためには、本人が実力を身に付けることと、それを発揮できる場を見つけることが必要であり、それには出口に差し掛かる前からの準備が不可欠となります。したがって、イグジットマネジメントとは退職という一時期にフォーカスされるものではなく、入社から退職に至る社員のキャリアを通じて考えるべきテーマだといえます。