【最新法改正等】2019年9月 退職金・年金関連ニュースまとめ読み
目次
2019年9月2日 今年7月時点のiDeCo加入者数が公表
2019年9月3日 定年前後の働き方を解析 リクルート
2019年9月3日 厚労省 働き方多様化で社会保険に関する懇談会 開催
2019年9月13日 女性正社員50代・60代のキャリアと働き方調査の結果公表
2019年9月17日 「企業年金の今後の展開」の講演資料掲載
2019年9月25日 NPO401k教育協会 企業型確定拠出年金 商品一覧が掲載
2019年9月27日 厚労省 年金部会が開催
2019年9月28日 政府税制調 中長期的視点から税制のあり方 答申まとめる
2019年9月2日
今年7月時点のiDeCo加入者数が公表
国民年金基金連合会より今年7月時点のiDeCo加入者数が公表され、単月の新規加入者は36,788人と2018年12月以来7ヶ月ぶりに前年同月を上回りました。前年同月比108.5%は2018年1月以来の高水準です。
今年5月下旬から6月初めにかけて公表された金融審議会の報告書案及び最終版が、「老後2000万円」として大きく取り上げられた影響がうかがえます。
2019年9月3日
定年前後の働き方を解析 リクルート
再雇用か、転職か、引退か ー「定年前後の働き方」を解析するー|Works Report|リクルートワークス研究所
定年前後の働き方に関して、全国就業実態パネル調査の結果から
・再雇用は多数派ではなく不幸な道でもない
・定年前の転職は早いほどいい
・定年前後で年収が大幅ダウンしても仕事満足度は回復する
といった点が紹介されています。
また、60歳以上のシニア社員の仕事満足度につながる要素として、年収のほかに勤務日・勤務時間の柔軟性、専門性が活かせる職種などが挙げられています。一方で、労働時間の長さや仕事の負荷の重さについては一概にはいえないことが示されています。
引退年齢については、50代で引退している人が一定割合いる一方で、69歳でも引退していない人が過半数を占めています。「定年=引退」という図式は過去のものとなり、引退のタイミングは多様化しています。
2019年9月3日
厚労省 働き方多様化で社会保険に関する懇談会 開催
9月2日、厚生労働省の「第7回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」が開催されました。
当懇談会では働き方の多様化を踏まえ、被用者保険の適用拡大についての議論が進められてきました。被用者保険の適用拡大は8月27日に公表された公的年金制度の財政検証のオプション試算にも盛り込まれている内容です。
9月2日の会議では、財政検証のオプション試算の結果とともに「これまでの議論の整理」が提示され、以下のような点について見直しの必要性が示されました。
・従業員数が501人以上か未満かで、短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲に違いがあること
・短時間労働者に対する被用者保険の適用要件のうち、「勤務期間が1年以上見込まれること」の要否
今後は、当懇談会での議論の結果も踏まえ、社会保障審議会年金部会にて被用者保険の適用拡大を含む次期年金制度改正に向けた検討が進められる見込みです。
2019年9月13日
女性正社員50代・60代のキャリアと働き方調査の結果公表
21世紀職業財団より「女性正社員50代・60代におけるキャリアと働き方に関する調査」の結果が公表されました。
男女雇用機会均等法が施行されて30年以上が経過し、ここ数年で50代・60代の女性正社員が増加してきました。調査結果を踏まえ、報告書では以下のような提言を行っています。
(1) 女性が50 代で活躍するための提言
【提言1】女性の昇進・昇格を促進するために、管理職等の幹部人材の育成策はキャリアの多様性に合わせた「選択的育成策」とする
【提言2】管理者の「キャリアの後押し力向上プログラム」を構築する
【提言3】女性の「異動促進プログラム」を構築する
【提言4】子育ての制約から離れ「思う存分働く」キャリア段階に入った女性が、「思う存分働く」ことができるための「ワーク・シフトチェンジ支援研修」を構築する
【提言5】女性一般職が活躍し、キャリアアップできる人事管理を構築する
(2) 女性が定年後60 代で活躍するための提言
【提言6】社員が定年後も活躍できる評価、処遇等の人事管理を整備する
【提言7】定年を契機にした役割の変化への対応力をつける「役割転換意識づけ研修」を整備する
【提言8】仕事を意義深いものに変える「ジョブ・クラフティング ワークショップ」を開発する
【提言9】女性が定年後の働き方とキャリアを考え、お互いに交流する「定年後を考える女性交流フォーラム」を構築する
【提言10】女性の「キャリアと働く」を支援し、キャリア・モデルとなるキャリア・コンサルタントを配置する
2019年9月17日
「企業年金の今後の展開」の講演資料掲載
本日開催の年金シニアプランフォーラム「企業年金の今後の展開」の講演資料が、年金シニアプラン総合研究機構のサイトに掲載されました。
第1部特別講演資料「企業年金・個人年金の今後の展開」では、企業年金・個人年金制度の変遷と現状を踏まえ、制度改正に向けた議論が行われている社会保障審議会(企業年金・個人年金部会)での以下のような意見が紹介されています。
(講演者:吉田一生 厚生労働省年金局企業年金・個人年金課長)
・簡易型DCやiDeCo+の対象拡大(従業員規模100人以下→300人以下)
・企業型DC加入者が規約の制約なくiDeCoに加入できるようにする
・マッチング拠出とiDeCo加入を加入者ごとに選択できるようにする
・インターネットで完結しないiDeCoの加入手続きを改善する
2019年9月25日
NPO401k教育協会 企業型確定拠出年金 商品一覧が掲載
NPO401k教育協会のWebサイトに、運営管理機関各社の企業型確定拠出年金 商品一覧リンク集が掲載されました。
商品一覧の情報は、企業型確定拠出年金の商品ラインナップを改善していくために非常に重要です。自社ラインナップとの比較を行うことで、商品の除外や追加(入れ替え)の必要性を確認することができます。
(関連コラム)
【DC担当者向け】企業型確定拠出年金 運用商品一覧の活用方法
2019年9月27日
厚労省年金部会が開催
先月27日に公的年金制度の財政検証結果が報告されて以降、初めての年金部会が本日、開催されます。
財政検証及びオプション試算の結果を踏まえ、次期年金制度改正の大きな2つの柱として
・多様な就労を年金制度に反映する被用者保険の適用拡大
・就労期の長期化による年金水準の確保・充実(繰下げ制度の柔軟化・在職老齢年金制度の見直し等)
が掲げられており、今後はこれらの点を中心に法案化に向けた議論が行われます。
適用拡大(厚生年金の対象となるパート社員等の範囲拡大)については、オプション試算では
(1)企業規模要件の廃止(125万人が対象)
(2)賃金要件、企業規模要件の廃止(325万人が対象)
(3)月5.8万円以上の賃金収入がある全被用者に適用(1,050万人が対象)
の3パターンによる試算結果が示されており、法案化に向けてはどこまで拡大するかがポイントとなります。
※企業規模要件の撤廃について
現行制度では、所定労働時間週20時間以上で月収8.8万円以上等の要件を満たす短時間労働者について、企業規模501人以上では適用対象となるが、501人未満では労使合意のあった企業においてのみ適用対象となる。
これを「企業規模501人以上」の基準に統一することで、適用範囲は拡大される。
2019年9月28日
政府税制調 中長期的視点から税制のあり方 答申まとめる
9月26日、政府税制調査会は中長期的視点から税制のあり方を示す答申をまとめました。
本答申は、2013年6月の安倍総理大臣からの諮問を受けて議論を重ね取りまとめられたものであり、企業年金・個人年金等に関しては以下のような内容が盛り込まれています。
・働き方の違い等によって有利・不利が生じないような税制上の取扱い、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正な税負担のあり方について検討する必要があること。
・退職金も含めた賃金形態の多様化や転職機会の増加などが進む中、給与・退職一時金・年金給付の間の税負担のバランスについても、働き方やライフコースの多様化を踏まえた検討が必要であること。
・関係する税制の包括的な見直しを行っていくべきであること。
本答申に沿って検討が進められると、具体的には各制度の拠出限度額の取扱い、特別法人税、退職所得控除・公的年金等控除などが見直しの対象となりそうです。
<「2019年8月 退職金・年金関連ニュースまとめ読み」を読む
「2019年10月 退職金・年金関連ニュースまとめ読み」を読む>
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2019 年 7 月より、従来実質的に対応が困難であった金融機関の窓口における確定拠出年金の運用商品の提示や説明が解禁され、金融機関行職員がその場で対応することができるようになります。そのため、確定拠出年金の業務に携わる金融機関行職員は制度の仕組みを正確に理解したうえで、個人および法人のお客様が制度を有効に活用できるようにするための対応力が求められます。
基本的な知識からお客様への対応までをわかりやすく説明し、確定拠出年金の業務に携わる方々の一助となる一冊です。