【最新法改正等】2019年10月 退職金・年金関連ニュースまとめ読み
目次
2019年10月2日 70歳まで就業機会の議論、始まる
2019年10月7日 企業年金連合会 2018年度決算公表
2019年10月9日 第8回 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料掲載
2019年10月9日 第11回社会保障審議会年金部会 資料掲載
2019年10月11日 2019年 上場企業「希望・早期退職」実施状況
2019年10月18日 第12回社会保障審議会年金部会 資料掲載
2019年10月25日 第89回雇用対策基本問題部会 資料掲載
2019年10月30日 第13回社会保障審議会年金部会 資料掲載
2019年10月2日
70歳まで就業機会の議論、始まる
9月27日、第88回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用対策基本問題部会が開催され、70歳までの就業機会の確保に関する議論が始まりました。
今年6月に閣議決定された成長戦略実行計画では、65歳から70歳までの就業機会確保のため、以下のような選択肢を法制度上明示し、企業に対する努力規定とすることが盛り込まれました。
(a) 定年廃止
(b) 70歳までの定年延長
(c) 継続雇用制度導入
(d) 他の企業への再就職の実現
(e) 個人とのフリーランス契約への資金提供
(f) 個人の起業支援
(g)個人の社会貢献活動参加への資金提供
(a)~(c)はすでに実施されている65歳までの雇用確保措置と同じですが、(d)以降は新たに盛り込まれた選択肢です。
これに対して部会では以下のような検討課題があげられており、今後こうした点について議論が行われる見込みです。
○ 各措置として事業主が講じる内容やこれまでの措置との均衡について
(例:事業主の関与のあり方、措置の仕組みや方法、労使の関わり方など)
○ 事業主の履行確保を図るための仕組みについて
○ 新たな制度の円滑な施行を図るために必要な準備期間について
○ 新たな制度の創設に加えて、高齢者の活躍を促進するために必要な支援について
資料はこちらに掲載されています。
2019年10月7日
企業年金連合会 2018年度決算公表
10月4日、企業年金の通算事業を行っている企業年金連合会の2018年度決算が公表されました。
年金経理全体での積立比率(純資産/責任準備金)は115.0%と前年度より2.1%上昇しました。その主な要因は、年金資産の運用収益が計画を上回った「利差益」によるものとなっています。
2019年10月9日
第8回 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料掲載
10月9日開催の第8回 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会の資料が掲載されました。
これまでの議論を踏まえ、事務局からはDC(確定拠出年金)、DB(確定給付企業年金)の見直しに関して、次のような提案がなされています。
・企業型DCの加入可能要件について、年齢要件と同一事業所要件を撤廃し、厚生年金被保険者(最大70歳未満)であれば加入できるようにする(DBの要件と揃える)
・iDeCoの加入可能要件について、年齢要件を撤廃し、国民年金被保険者(最大65歳未満)であれば加入できるようにする(国民年金基金の考え方と揃える)
・DC(企業型・iDeCo)の受給開始可能年齢について、公的年金の受給開始可能年齢の見直しに併せて70歳以降に延長する
・DBの支給開始時期の設定可能範囲を70歳まで拡大する(現行は65歳まで)
また、その他の検討課題として、拠出限度額や中途引き出しのあり方、年金受給の形態についても触れられています。
2019年10月9日
第11回社会保障審議会年金部会 資料掲載
10月9日開催の第11回社会保障審議会年金部会の資料が掲載されました。
主な議題は65歳以上の在職老齢年金の見直しと保険料拠出期間の延長となっています。このうち、65歳以上の在職老齢年金の見直しについては次の2つの方向性が示されています。
1.支給停止の基準額を62万円に引き上げ(現行は47万円)
2.支給停止の完全撤廃
2019年10月11日
2019年 上場企業「希望・早期退職」実施状況
2019年 上場企業「希望・早期退職」実施状況 : 東京商工リサーチ
・2019年1月-9月に希望・早期退職者を募集した上場企業は27社、対象人数は1万342人と6年ぶりに1万人超え
・実施企業の約7割は業績不振であった一方、業績が堅調な企業が先を見据えた「先行型」の募集も目立つ
2019年10月18日
第12回社会保障審議会年金部会 資料掲載
本日開催の第12回社会保障審議会年金部会の資料が以下に掲載されました。
公的年金の繰下げ可能期間の延長などについて、事務局(厚生労働省)より次のような案が提示されています。
■繰上げ・繰下げ可能期間と年金額の増減率の設定
・繰下げ受給の上限年齢を75歳とする(現行は70歳)
・繰下げによる年金の増額率は現行の率(8.4%/年)を70歳以降も適用する
→75歳まで繰り下げた場合の増額率は84%となる。
・繰上げ受給については現行どおり60歳より可能とする。但し繰上げによる年金の減額率は平均余命の伸びを考慮して4.8%/年に見直す(現行は6%/年)
→60歳で繰上げ受給した場合の減額率は24%となる(現行は30%)
■65歳以降に請求を行ったものの繰下げ受給を選択しない場合の取扱い
・70歳までの間に請求を行い、その時点で繰下げ受給を選択しない場合の取扱いは現行どおり(年金額は65歳受給開始の場合と同額とし、65歳から請求時点までの期間の年金を一括して支給)。
・70歳以降に請求を行い、その時点で繰下げ受給を選択しない場合はその5年前に繰下げ申出があったものとして年金額を算定し、請求時点までの5年間の年金を一括して支給する。
※75歳以降に請求を行い、その時点で繰下げ受給を選択した場合には75歳時点で繰下げ申出があったものとして年金額を算定し、75歳から請求時点までの期間の年金を一括して支給する。
■在職定時改定の導入
・65歳以降、老齢厚生年金を受給しながら会社員(厚生年金被保険者)として働く場合には、1年ごとに65歳以降の標準報酬と被保険者期間を年金額に反映(増額改定)させていく。
※現行制度では退職または70歳に到達する(資格喪失)まで年金額に反映されない。
2019年10月25日
第89回雇用対策基本問題部会 資料掲載
本日開催の第89回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会の資料が以下に掲載されました。
65歳以降の就業機会確保のための7つの選択肢について、事業主が具体的に実施する措置の例として以下のような考えが示されています。
・「定年廃止」、「定年延長」、「継続雇用制度の導入」については、65 歳までの雇用確保措置と同様のものが考えられるのではないか。
・「他の企業への再就職の実現」については、特殊関係事業主による継続雇用制度の導入と同様のものが考えられるのではないか。
・「個人とのフリーランス契約への資金提供」及び「個人の起業支援」については、事業主からの業務委託により就業することが考えられるのではないか。
・「個人の社会貢献活動参加への資金提供」については、事業主が自ら又は他の団体等を通じて実施する事業による活動に従事することが考えられるのではないか。
2019年10月30日
第13回社会保障審議会年金部会 資料掲載
本日開催の第13回社会保障審議会年金部会の資料が以下に掲載されました。
公的年金に関する「その他の改正事項」として、以下のような見直しの方向性が提示されています。
・2ヶ月以内の雇用契約であっても、実態からみて2ヶ月を超えて使用される見込みがある場合は当初より健康保険・厚生年金保険の対象とする
・短期滞在の外国人に対する脱退一時金について、3年以上滞在した者の割合が増加していること等から、支給上限年数を3年から5年に引き上げる
・国民年金保険料の申請全額免除基準に未婚のひとり親及び寡夫を追加する
また、厚生年金被保険者の平均標準報酬月額の2倍が最高等級である62万円を超える状況が続いていることから、法律の規定により2020年9月より65万円の等級が新たに追加される見通しであることが報告されました。
なお、短期滞在の外国人に関しては、先日の日経新聞の報道によると確定拠出年金においても出国する外国人に脱退一時金の支給を認める方向で調整するとあります。
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