【最新法改正等】2019年11月 退職金・年金関連ニュースまとめ読み
目次
2019年11月5日 DBの財政悪化リスク相当額の計算 見直し案公示
2019年11月5日 オカムラ 65歳定年引き上げの取り組み
2019年11月8日 第9回 企業年金・個人年金部会 資料掲載
2019年11月13日 在職老齢年金等の見直し案 提示
2019年11月19日 福利厚生費調査結果 概要公表
2019年11月26日 厚労省 高年齢者の雇用状況 公表
2019年11月29日 確定拠出年金統計資料 掲載
2019年11月29日 65歳以降70歳までの就業機会 検討課題とイメージ 提示
2019年11月5日
DBの財政悪化リスク相当額の計算 見直し案公示
確定給付企業年金(リスク分担型でないもの)の財政悪化リスク相当額の計算に関して、手続きの見直しを行う案が10月30日のパブリックコメントで公示されました。
特別算定方法のうち、これまでの実績によりある程度確立された以下の方法については標準算定方法と同様に事前の審査を不要とするとしており、手続きにかかる期間が短縮されることが見込まれます。
①価格変動リスク
(1)現有資産の資産構成割合ではなく政策的資産構成割合に基づき算定する方法
(2)権利義務承継、確定拠出年金への移換、事業所追加等を理由に積立金の額が増減する場合にそれを織り込み算定する方法
②負債変動リスク
予定利率が1%低下した場合の債務の増加リスクを見込む方法
※標準算定方法では価格変動リスクのみを対象とし、現有資産に対して資産区分ごとに定められた係数(及び補正率)を乗じて算出する。
2019年11月5日
オカムラ 65歳定年引き上げの取り組み
エルダー 2019年11月号|独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
段階的な65歳定年への引き上げを実施した株式会社オカムラの取り組みが紹介されています。従来の再雇用社員には65歳退職時に退職金を支給することで、60歳以降の給与水準引き上げにより生じる不公平感の解消が図られています。
2019年11月8日
第9回 企業年金・個人年金部会 資料掲載
「制度の普及等に向けた改善について」
第9回 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料
これまでの議論を踏まえ、次のような改正案が示されています。
■確定拠出年金関連
・iDeCo+及び簡易型DCの対象範囲(企業規模)を「従業員数300人以下」に拡大
・規約の内容にかかわらず企業型DC加入者もiDeCoに加入可能に
・加入期間の短い外国人の帰国時には中途引き出しを可能に
・制度終了したDBの分配金をiDeCoに移換可能に
・退職時に企業型DCの資産を企業年金連合会の通算企業年金へ移換可能に
・事業主による従業員のiDeCo加入資格確認手続きを簡素化
・業務報告書の記載項目を簡素化、レコードキーパーによる提出を可能に
・選択制DC導入時の事業主による説明内容の確認徹底
■確定給付企業年金関連
・特別算定方法による財政悪化リスク相当額の計算方法のうち一部を個別承認不要に(すでにパブリックコメントを実施中)
・終身年金について死亡率の更新ごとに年金額の改定を可能に
また、以下のテーマについては改めて議論することを提案しています。
・企業型DCのガバナンス
・リスク分担型企業年金の合併・分割時等の給付減額の取扱い
・定年延長に伴うDBの給付減額の取扱い
・DBの支払保証制度
・DBの年金バイアウト
2019年11月13日
在職老齢年金等の見直し案 提示
本日開催の第14回社会保障審議会年金部会にて在職老齢年金等の見直し案が提示されています。
■在職老齢年金の見直し
・60歳台後半の支給停止の基準額を47万円から51万円に引き上げる。
…第11回では基準額を62万円に引き上げる案と完全撤廃する案が提示されていましたが、その後の議論を踏まえて引き上げ幅が縮小されています。
・60歳台前半の支給停止の基準額を28万円から47万円または51万円に引き上げる。
■被用者保険の適用事業所範囲の見直し
・個人事業所の適用業種に「士業」を加える。
…常用雇用者数5人以上の弁護士、税理士、社労士等の個人事業所が新たに強制適用事業所となります。
資料は下記リンク先に掲載されています。
2019年11月19日
福利厚生費調査結果 概要公表
経団連より2018年度福利厚生費調査結果の概要が公表されました。
従業員1人あたりの退職金にかかる費用は月46,251円、年額55.5万円で前年度からほぼ横ばい(+0.3%)となっています。
2019年11月26日
厚労省 高年齢者の雇用状況 公表
厚生労働省から2019年6月現在の「高年齢者の雇用状況」が公表されました。
60歳以降の雇用確保措置については継続雇用制度の導入により対応している企業が依然として多数を占めていますが、定年を65歳以上に引き上げる(または廃止する)企業も301人以上で11.6%、51~300人で20.4%、31~50人では28.1%と年々増加しています。v
また66歳以上働ける制度のある企業の割合は30.8%となっており、都道府県別では最高が秋田の45.5%、最低が東京の23.7%となっています。
2019年11月29日
確定拠出年金統計資料 掲載
2019年3月末までの確定拠出年金統計資料(運営管理機関連絡協議会提供)が企業年金連合会のサイトに掲載されました。
加入者数や運用商品の選択状況のほか、企業型については未指図者数及び割合、マッチング拠出の導入及び加入者掛金の拠出状況、指定運用方法の導入状況などがまとめられています。
2019年11月29日
65歳以降70歳までの就業機会 検討課題とイメージ 提示
65歳以降70歳までの就業機会の確保に関する主な検討課題と対応イメージが、本日開催の第91回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会で提示されました。
企業の努力義務に関して、
・雇用によらない選択肢(起業支援など)のみを講じる場合には労使合意を得る
・対象者を限定した制度の導入を可能とする
・雇用契約から業務委託契約への切り替えについては、対象となる事業を事業主が定めることができる
・個人の社会貢献活動参加への資金提供については、対象となる事業の範囲を定めるとともに、個人が対価として金銭を受け取ることができるものに限る
・行政が必要と認める場合は事業主に70歳までの就業確保措置の導入に関する計画の作成を指示することができる
といった内容が盛り込まれています。
<「2019年10月 退職金・年金関連ニュースまとめ読み」を読む
「2019年12月 退職金・年金関連ニュースまとめ読み」を読む>
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