【最新法改正等】2019年12月 退職金・年金関連ニュースまとめ読み
目次
2019年12月2日 iDeCo加入状況 公表
2019年12月6日 上場企業「早期・希望退職」実施状況
2019年12月7日 高年齢雇用継続給付 段階的に廃止か
2019年12月12日 自民党 税制改正大綱を公表
2019年12月20日 高年齢者の雇用に関する情報公表についての素案提示
2019年12月21日 高年齢雇用継続給付 段階的縮小が適当
2019年12月25日 厚労省 制度改正案が相次いで提示
2019年12月27日 社会保障審議会年金部会 「議論の整理」とりまとめ
2019年12月30日 DB特別算定方法 厚労省へ事前申請・承認不要に
2019年12月2日
iDeCo加入状況 公表
2019年10月時点のiDeCo加入状況が公表され、新規加入者は4ヶ月連続で前年同月を上回って36,139人となりました。
10月は特に企業年金のない会社員の新規加入が伸びています(前年同月比119.6%)。
またiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)の実施企業も増え続けており、1,000社目前となっています(967社)。
2019年12月6日
上場企業「早期・希望退職」実施状況
2019年(1-11月) 上場企業「早期・希望退職」実施状況
東京商工リサーチの調査によると、2019年1-11月に早期・希望退職者を募集した上場企業は延べ36社、対象人数は1万1,351人に達し、2014年以降の年間実績を上回りました。2020年以降の実施もすでに7社が判明しています。
実施企業の約7割は業績不振がその理由ですが、業績が堅調な業界大手でも将来の市場環境を見据えた「先行型」の実施がみられます。また、足もとでは「セカンドキャリアの形成」、「社外組織での活躍」をテーマに掲げた募集も多くみられるとしています。
バブル入社世代が50代を迎え、70歳までの就業機会確保に向けた努力義務の議論が進められている中で、より早い段階で転進の選択肢を示すことで人員構成の適正化やキャリアの自律を促進したいという企業側の意思が表れているのではないでしょうか。
2019年12月7日
高年齢雇用継続給付 段階的に廃止か
賃金水準が60歳時点の75%未満となった従業員に支給されている高年齢雇用継続給付について、段階的に廃止する方針であることが報道されています。
高齢雇用給付金 段階廃止へ 60歳以上の賃金減穴埋め 25年度に半減|東京新聞
60歳以上の給料穴埋め廃止へ|共同通信
60~64歳の賃金穴埋め給付、段階的廃止へ 厚労省|日本経済新聞
高年齢雇用継続給付の支給基準をもとに60歳以降の賃金水準を設定している企業は多く、制度が廃止されることになれば賃金制度や継続雇用制度の見直しについて検討が必要となります。
なお、高年齢雇用継続給付の概要や支給状況、これまでの議論などについては11月15日に開催された第134回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料に掲載されています。
2019年12月12日
自民党 税制改正大綱を公表
本日、自民党より「令和2年度税制改正大綱」が公表されました。
2020年度税制改正の具体的内容として、企業年金・iDeCo関連では法改正を前提に次のような項目が盛り込まれています。
・厚生年金及び国民年金の被保険者であれば、(60歳以上であっても)それぞれ企業型DC及びiDeCoに加入可能とする。
・DC、DBの受給開始時期等の選択可能な範囲を拡大する。
・簡易型DC及びiDeCo+について、実施可能な事業主の範囲を拡大する。
・企業型DC加入者について、当該DC規約の定めなしにiDeCoへの加入を可能とする。
・DB終了時においてiDeCoへの年金資産の移換を可能とする。
・加入者の退職等に伴う企業型DCから通算企業年金制度への年金資産の移換を可能とする。
・特別法人税の凍結期間を2020年3月末から3年間延長する。
また、基本的考え方として、老後の生活に備えるための支援について働き方によって税制上の取扱いに大きな違いが生じないような姿を目指す必要があること、給与・退職一時金・年金給付の間の税負担のバランスについても考える必要があること等が盛り込まれており、拠出限度額の設定方法や公的年金等控除、退職所得控除などの見直しについて、今後検討されることが想定されます。
2019年12月20日
高年齢者の雇用に関する情報公表についての素案提示
本日開催の第92回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会にて「高年齢者の雇用・就業機会の確保及び中途採用に関する情報公表について(素案)」が提示されました。
高年齢者の雇用・就業機会の確保に関しては以下のような点が盛り込まれています。
・70歳までの就業機会の確保を図る措置を事業主に対する努力義務とすること
・65歳以降は再就職、独立・起業、社会貢献活動への支援など継続雇用以外の措置も選択肢に加えること
・再就職支援では事業所間で契約を締結すること
・独立・起業支援では元従業員との間で業務体躯契約を締結すること
・社会貢献活動への支援は事業主または事業主が委託、資金提供する団体が行う事業を対象とし、かつその事業に従事した高年齢者に対して金銭を支払う有償のものに限ること
・どのような措置を講じるかについては労使で話し合い、雇用以外の措置を講じる場合には労使合意に努めること
・事業主が講じる措置について対象者を限定することを可能とし、その基準については労使合意を図ることが望ましいこと
・事業主が毎年1回国に報告する「高年齢者の雇用に関する状況」の報告内容に70歳までの措置に関する実施状況を加えること
・制度の施行には適切な準備期間を設けること
また、中途採用に関する情報の公表については、大企業を対象に直近3事業年度の中途採用者数の割合をホームページに掲載すること等により実施することを義務付けるとしています。
2019年12月21日
高年齢雇用継続給付 段階的縮小が適当
12月20日に開催の第137回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会にて「雇用保険部会報告(案)」が提示され、高年齢雇用継続給付については段階的に縮小していくことが適当であるとされました。
具体的には、2025年度に60歳になる高年齢者から給付率を半分程度に縮小するとしています。
その上で、高年齢雇用継続給付の在り方については廃止も含めて更に検討を行うべきとしています。
2019年12月25日
厚労省 制度改正案が相次いで提示
12月25日、厚生労働省の社会保障審議会、労働政策審議会において、公的年金や企業年金・iDeCo、高年齢者の雇用に関する制度改正案が相次いで提示されました。
<第15回社会保障審議会年金部会>
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00018.html
(資料1参照)
<社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08681.html
<第143回労働政策審議会職業安定分科会>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08662.html
(資料2、資料3参照)
厚生年金の適用拡大、iDeCoの加入対象・加入可能期間の拡大、70歳までの就業に向けた企業の努力義務、高年齢者雇用継続給付の縮小などが盛り込まれています。詳細については「お役立ち情報」にて解説します。
https://kumitateru.jp/media
2019年12月27日
社会保障審議会年金部会 「議論の整理」とりまとめ
本日、社会保障審議会年金部会において「議論の整理」がとりまとめられました。
25日の第15回社会保障審議会年金部会で提示された「議論の整理(案)」から一部文言の修正はあったものの、制度改定案の内容に変更はありません。
2019年12月30日
DB特別算定方法 厚労省へ事前申請・承認不要に
12月27日、確定給付企業年金の財政悪化リスク相当額の算定方法に関する告示が改正され、特別算定方法のうち一定の方法については厚生労働省への事前の申請と承認が不要とされました(同日以降の申請から適用)。
なお、改正内容については10月31日のパブリックコメントで公示された案から変更はありません。 https://kumitateru.jp/media/topic/news201911#a01
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