【人事必見】第2回 世代別金融教育で、効果的な研修を実現する | 連載「なぜ今、金融教育を会社が行った方が良いのか」
今回の記事は、「なぜ今、金融教育を会社が行った方が良いのか」の第2回になります。 第1回では、「従業員の経済的安心がイキイキとした組織を作る」をテーマに、金融教育をやる意義から始まり、その背景、そして金融教育のゴールについて確認をしてきました。
※筆者の定義する金融教育のゴール
お金の不安なく従業員が安心して働けるように必要な情報提供・教育を行うこと
第2回では、ゴールを実現するために実施されることが多い世代別金融教育の具体的な研修内容を紹介していきます。早速見ていきましょう。
新卒〜若手社員向け金融教育 〜具体例〜
新卒〜若手社員向け金融教育では、社員が「知らない」ことにより不利益であったり、収支管理がままならない、トラブルに巻き込まれるといったことを防ぐことを狙った研修が一般的に多いかと思います。
具体的には、次のような内容です。
研修に良く組み込まれる内容 | 狙いと効果 |
<給与明細等の確認> |
収入を正しく理解させるとともに、会社固有の福利厚生制度を知ってもらう。 |
<ライフプランの確認> |
貯蓄や収入の範囲内で支出をコントロールすることの重要性を知ってもらう。 |
<お金の常識の確認> |
リターンとリスクはトレードオフの関係があることを理解してもらう。 |
<基本的な経済知識を確認> |
自身が労働によってお金を稼ぐことに加え、お金にも働いてもらえること(投資の重要性)を理解してもらう。 |
30〜40代社員向け金融教育 〜具体例〜
次に30〜40代社員向け金融教育では、家族を含めたライフプランの検討や両親の介護といった、自分以外も含めた環境の変化も考慮した研修が多くなります。
具体的には次のような内容です。
研修に良く組み込まれる内容 | 狙いと効果 |
<ライフイベントに必要な費用の確認> |
人生に大きな影響を及ぼす、結婚、住宅購入、教育費の準備をするために必要な知識を知ってもらう。 |
<両親の介護について> |
親の介護について事前に意識付けをし、必要な知識や準備できることを知ってもらう。 |
<老後の必要資産の確認> |
計画的な老後資産の準備がゆとりある老後の手助けになることを知ってもらう。 |
50〜60代社員向け金融教育 〜具体例〜
最後に50〜60代社員向け金融教育では、リタイヤ後のライフプランを考慮した内容や老後の会社での役割、働き方といった内容の研修が多いでしょう。
具体的には次のような内容です。
研修に良く組み込まれる内容 | 狙いと効果 |
<老後の必要資産の確認> |
国や会社の年金、退職金を正しく理解してもらう。 |
<定年後の生きがいを考える> |
人生の後半の生きがいや目標を見つけてもらう。 |
自社で行ってみたい研修内容はありましたでしょうか?
次回はこれらの金融教育を自社で企画する時のポイントについて紹介していきたいと思います。
お楽しみに。
<「第1回 従業員の経済的安心がイキイキとした組織を作る」を読む
「第3回 金融教育を検討する際に抑えるべきポイントとは」を読む>
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著者 : 石川 泰 (いしかわ たい)
1991年生まれ。東京理科大学基礎工学部卒業後、2015年に株式会社IICパートナーズへアクチュアリー候補として入社。その後、野村證券株式会社にて確定拠出年金に関する法人営業、SBIベネフィット・システムズ株式会社において、関係省庁や業界団体との折衝、企画業務を担当。
現在はクミタテル株式会社で働く他、2021年1月に設立した公的私的年金・退職金の一元管理を目指したフィンテック企業の代表も務める。
SBI大学院大学経営管理研究科(MBA)卒業、元プロボクサー(1戦1勝1KO)。
出口 (イグジット) を見据えたシニア雇用体制の確立をしましょう
労働力人口の減少と高齢化が同時進行する中、雇用の入口にあたる採用、入社後の人材育成・開発に加え、出口 (イグジット) をどうマネジメントしていくかが、多くの企業にとっての課題となりつつあります。特に、バブル入社世代が続々と 60 歳を迎える 2020 年代後半に向けて、シニアの雇用をどう継続し、戦力として活用していくのか、あるいはいかに人材の代謝を促進するのか、速やかに自社における方針を策定し、施策を実行していくことが求められます。多くの日本企業における共通課題であるイグジットマネジメントの巧拙が、今後の企業の競争力を左右するといっても過言ではありません。
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