【人事必見】第3回 金融教育を検討する際に抑えるべきポイントとは | 連載「なぜ今、金融教育を会社が行った方が良いのか」
今回の記事は、「なぜ今、金融教育を会社が行った方が良いのか」の最終回になります。第1回では「従業員の経済的安心がイキイキとした組織を作る」をテーマとし、第2回では「世代別金融教育で、効果的な研修を実現する」をテーマに、金融教育の意義や背景、そして効果的な世代別の金融教育の事例を紹介しました。本記事では自社で金融教育を検討する際に、抑えるべきポイントについて解説します。
金融教育の企画!まずは何をするのか
会社で金融教育の企画が必要になる理由は様々ですが、企画の質を高めるためには次に記載する3つのフェーズを抑えましょう。
現状分析フェーズ |
<経営層、人事部の想いを確認> |
企画内容検討フェーズ |
現状分析フェーズを終えてからは、収集した情報を元に、経営層や人事の想いと従業員の現状の差を埋めるための要素を整理していきます。要素を整理した後に、年齢階層別での区分けや、テーマ、役職別など、どこまで粒度を細かくするべきか自社に合った内容を検討していきます。 |
実施方法検討フェーズ |
企画の内容がおおよそ決まってきたタイミングで予算や自社の拠点数等を勘案し、最適な実施方法を検討します。 |
どこまで評価するかを決める
次に、研修全般に言えることですが、研修は企画をして終わりではありません。研修後に「評価」を行い、次回以降の研修に活かしていくところまでが1サイクルになります。その際に、「どこまで評価」を行うのか、ということが質の高いサイクルをまわすポイントになってきます。
識者によって差はありますが、評価のレベルは次の5段階で区分けされることが多く、Ⅲの行動レベルまで追えると質の高いサイクルを回しやすくなります。
I. 反応レベル(研修後のアンケートで満足度などを確認する)
II. 学習レベル(研修後に到達後テストを実施する)
III. 行動レベル(研修後に行動変容があったか確認する)
IV. 成果レベル(研修後に成果が出たか確認する)
V. 利益レベル(研修後に利益が出たか確認する)
研修会社等はⅠまでしか責任を持てないこともあり、Ⅰまでしか評価ができてないという会社様は、これを機にⅢまでの評価を検討してみてはいかがでしょうか。
最後に
これまで3回に分けて、金融教育の意義から始まり、具体的な研修内容、実際に企画する際のポイントを紹介してきました。
昨年から続くコロナウイルスの影響で金融教育(DCの投資教育を含む)は専ら、延期や中止という声を多く聞いていますが、今の日本において重要な教育の一つだと思います。
本記事を参考に皆様の会社の金融教育の一助になりましたら幸いです。
全3回に渡り、ご覧いただけた方、ありがとうございました。
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<「第2回 世代別金融教育で、効果的な研修を実現する」を読む
著者 : 石川 泰 (いしかわ たい)
1991年生まれ。東京理科大学基礎工学部卒業後、2015年に株式会社IICパートナーズへアクチュアリー候補として入社。その後、野村證券株式会社にて確定拠出年金に関する法人営業、SBIベネフィット・システムズ株式会社において、関係省庁や業界団体との折衝、企画業務を担当。
現在はクミタテル株式会社で働く他、2021年1月に設立した公的私的年金・退職金の一元管理を目指したフィンテック企業の代表も務める。
SBI大学院大学経営管理研究科(MBA)卒業、元プロボクサー(1戦1勝1KO)。
出口 (イグジット) を見据えたシニア雇用体制の確立をしましょう
労働力人口の減少と高齢化が同時進行する中、雇用の入口にあたる採用、入社後の人材育成・開発に加え、出口 (イグジット) をどうマネジメントしていくかが、多くの企業にとっての課題となりつつあります。特に、バブル入社世代が続々と 60 歳を迎える 2020 年代後半に向けて、シニアの雇用をどう継続し、戦力として活用していくのか、あるいはいかに人材の代謝を促進するのか、速やかに自社における方針を策定し、施策を実行していくことが求められます。多くの日本企業における共通課題であるイグジットマネジメントの巧拙が、今後の企業の競争力を左右するといっても過言ではありません。
シニア社員を「遊休人員化」させることなく「出口」へと導くイグジットマネジメントを進めるために、まずは現状分析をおすすめします。