【人事必見】第3回 シニア向け研修を企画する際のポイント | 連載「70歳就労時代のシニア人材向け研修の重要性とは?」
本記事はシニア人材向け研修の重要性について解説する3回目となり、最後の記事になります。第1回と第2回ではシニア社員の課題感から活用に向けたポイント、そして研修の効果について説明してきました。第3回目となる本記事では、研修の“企画”に焦点を当て、解説をしていきます。
自社のシニア社員の理想的な状態を整理し、問題を特定する
これまで多くの会社様から相談を受けた際に散見されるのですが、シニア向け研修を企画する際、下記のようなプロセスで研修を企画していないでしょうか?
もちろんこのプロセスで研修企画を行い、上手くいっている会社様もありますが、これまで多くの会社様から相談に乗る中で、次のように研修を企画している企業様の方が効果的な研修をしているように感じます。
自社の理想的な状態を整理した上でシニア研修を企画することと従業員からネガティブな声をベースとして研修を企画することでは次のような違いがあります。
ネガティブな声をベースに企画 | 理想的な状態を整理した上で問題を整理し企画 | |
メリット | 従業員の声に応えているように感じる | 研修後のゴールが明確であり達成度を測りやすい |
デメリット | 従業員の声に応えても、それが自社にとって良いことかどうか判断がしづらい | 必ずしも自社の最適な研修と従業員の想いが一致するわけではない |
シニア社員支援の必要性・重要性を整理する
自社における問題が整理された後、ここでも一つ障壁が出てきます。
いざ実際に問題を特定し、研修の実行に向けて予算取りをしようとした際、ゴールが見えているシニア社員に対して「そもそも育成や教育支援が必要なのか?」といった考えによって研修企画自体が通らなくなることもよくあります。
根強く残る新卒一括採用の中で、どうしてもシニア社員に関連した研修は後回しになりがちです。
そのため、シニア社員研修の企画の考える上でのポイントとして、自社のシニア社員に関わる問題が具体的にどの程度会社にとって、負の影響を及ぼすのか情報を整理しておくことが重要になります。
例えば、シニア社員の対応を後回しにし、若手や中堅社員を中心とした研修に費用をかけていても、やる気のないシニア社員によって、若手が希望を持てず、離職に繋がることも起こりえます。
こうしたシニア社員に関わる問題によって発生しうる悪影響を洗い出すことによって、なぜ今シニア社員研修をやるべきなのか?ということに意味を持たせやすくなります。
シニア社員研修の予算が通らない、という方は一度情報を洗い出してみて、研修の必要性・重要性を整理してみることが良いでしょう。
研修によって変化を起こしたい狙いを特定し、効果測定の方法を明確化する
次に、研修企画の中身に関してですが、シニア向け研修には第2回の記事(第2回の記事はこちら)で紹介したような内容と効果が期待できます。
自社で整理した問題を解決するためにどういった研修内容であれば、期待される効果が得られるかを整理していきます。
その際にポイントとなることは、実際の研修内容によって期待される効果が自社の問題解決に寄与するかどうか、狙いを持って研修を企画していくことです。
そして、狙った効果の測定方法をどのように行うのか、ここまでを企画していくことが重要です。 なお、研修の効果測定についてですが、多くのシニア向け研修では、シニア社員の行動変容までを狙った研修が多いため、1ヶ月後、3ヶ月後、半年後といったサイクルでシニア社員の行動が変わったかどうか、シニア社員自身へのアンケート・ヒヤリングの実施し、そして上司へのインタビューなどで効果を測定していくことが多いようです。
シニア向け研修を企画する際のポイントまとめ
最後にシニア向け研修の企画についてまとめるとポイントは下記の3点になります。
・まずは、シニア社員の理想の状態を整理し、現状とのギャップから問題を特定する
・なぜ今シニア社員研修が自社にとって必要か情報を整理する
・研修内容で自社の問題解決が期待できること、そして効果測定の方法までを企画する
<「第2回 制度を効果的に活用させるシニア社員向け研修のポイント」を読む
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著者 : 石川 泰 (いしかわ たい)
1991年生まれ。東京理科大学基礎工学部卒業後、2015年に株式会社IICパートナーズへアクチュアリー候補として入社。その後、野村證券株式会社にて確定拠出年金に関する法人営業、SBIベネフィット・システムズ株式会社において、関係省庁や業界団体との折衝、企画業務を担当。
現在はクミタテル株式会社で働く他、2021年1月に設立した公的私的年金・退職金の一元管理を目指したフィンテック企業の代表も務める。
SBI大学院大学経営管理研究科(MBA)卒業、元プロボクサー(1戦1勝1KO)。
出口 (イグジット) を見据えたシニア雇用体制の確立をしましょう
労働力人口の減少と高齢化が同時進行する中、雇用の入口にあたる採用、入社後の人材育成・開発に加え、出口 (イグジット) をどうマネジメントしていくかが、多くの企業にとっての課題となりつつあります。特に、バブル入社世代が続々と 60 歳を迎える 2020 年代後半に向けて、シニアの雇用をどう継続し、戦力として活用していくのか、あるいはいかに人材の代謝を促進するのか、速やかに自社における方針を策定し、施策を実行していくことが求められます。多くの日本企業における共通課題であるイグジットマネジメントの巧拙が、今後の企業の競争力を左右するといっても過言ではありません。
シニア社員を「遊休人員化」させることなく「出口」へと導くイグジットマネジメントを進めるために、まずは現状分析をおすすめします。