なぜ、クリーンテックス・ジャパンは退職金制度改革を進めたのか 中編
—あまり社員に知られていなかった退職金制度
向井
クリーンテックス・ジャパンさんの退職金制度のご事情というのは、社員の皆さんも知っていたのですか?
杉本
意外と知りませんでした。そもそも、これまで退職者が少ない会社で、まだ定年退職の方が数えるほどしかいません。そのため、あまり話題になったことがありませんでした。
成田
退職金制度はあまり従業員には知られていなかったですね。
杉本
退職しないと退職金には触れないので、自分で自分の退職金を計算することがほとんどなくて。今回の退職金制度改革の時に初めて旧規定を見ながら自分の退職金を計算した方が何人かいたのですが、「何も知らなかった」と言っていましたね。ポイントを積み立てていて、最終的にまとまってお金がもらえるくらいしか知らなかったです。
—これまでの退職金制度と確定拠出年金の導入
向井 | 今回、御社は退職金として確定拠出年金 (以下、DC) を導入することにしましたが、これまでの制度はどのようなものだったのですか? |
杉本 | いわゆる、ポイント制ですね。中小企業退職金共済 (以下、中退共)とポイント制を併用と言いますか、中退共の方は20パーセントくらいです。 |
向井 | 今回の退職金制度の改革は、今後定年退職者が増えるということで財務面での理由があるのかなと思うのですが、一方で加入者さんに向けてのメリットなど検討されたことはありますか? |
杉本 | 不都合、不利益が出ないようにしたことと、旧制度より少しでも増えるように考えました。また、このようなことはないとは思いますが、仮に会社が急になくなっても退職給付金は確保されるので、もらえないってことはないというのが加入者へのメリットですね。 |
向井 | あとは、会社の掛金だけでなく、加入者も一定の範囲内で事業主の掛金に上乗せ拠出ができるマッチング拠出を導入したということでしょうかね。退職金制度が変わると社員のみなさんに伝えた際に不満は出ましたか? |
杉本 | あまり不満は出なかったですね。数名からは意見はありましたが、不利益がないということを説明したら、DCの方が良くなると分かったので。ただ一番もめたのが 60 歳までは引き出せないっていうことでした。 |
向井 | DCの場合は、60歳までは引き出せないのがネックですね。 |
杉本 | ただ今回の退職金制度を変更してDCを導入したことで、社員のみなさんが退職金に興味を持ってくれたというのが大きいですね。 |
成田 | それは大きいですね。退職金への関心が出てきました。 |
杉本 | だいたい自分が退職金をいくら貰えるのか、はっきり出てくるので。 |
向井 | 今までの退職金だとポイントはあるけれども、実際いくらもらえるのかよくわからないということですね。 |
成田 | 今回のDC導入で退職金が透明化されたということですね。 |
向井 | 中退共の残高も、今回みなさんに通知したのですか? |
杉本 | そうですね。まあ、今まで中退共の存在も誰も知らなかったくらいなので、今自分の退職金がいくらか、DCに変更したおかげでだいたい分かるようになっていますね。 |
退職一時金から確定拠出年金へと退職金制度を変更したクリーンテックス・ジャパン。DC導入後、社内の反応は?
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※取材日時 2018年8月
※記載内容は、取材時点の情報に基づくものです。