適切なコンサルティングのもと、最終給与比例制からポイント制の移行による目標達成(小野薬品工業株式会社様)
「最終給与比例制からポイント制へ移行するにあたり、
適切なコンサルティングにより、目標をすべて達成できました」
小野薬品工業株式会社 人事部 理事・部長 福森 毅 氏(中央)
小野薬品工業株式会社 人事部 次長 菅原 達朗 氏(左)
小野薬品工業株式会社 人事部人事課 課長 渡辺 一範 氏(右)
「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という理念のもと、新薬の創製に特化した研究開発を進めている小野薬品工業株式会社(以下、小野薬品)。同社において利用された、IICパートナーズ(以下、IICP)の「退職金・年金制度コンサルティング」について、コンサルティング導入の背景やその効果などを同社人事部 理事・部長 福森 毅 氏、人事部 次長 菅原 達朗 氏、人事部人事課 課長 渡辺 一範 氏に伺いました。
企業情報 | 小野薬品工業株式会社 http://www.ono.co.jp/jpnw/about/outline.html |
本社所在地 | 大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号 |
会社設立 | 1947年[創業:1717年(享保2年)] |
小野薬品の概要
小野薬品について教えてください。
小野薬品は、医療用医薬品の研究、臨床試験といわれる開発の段階、生産段階を経て、厚生労働省の承認を受けた後、患者さんに使っていただくという形で、医薬品の製造・販売を行なっている会社です。また、病で苦しむ患者さんにできるだけ早く新しい薬の情報が届くよう、MR(医薬情報担当者)が、医療機関において医師・薬剤師など医療関係者に薬の情報を伝える活動を行なっています。
最近では、「がんの第4の治療法」といわれている免疫療法の薬剤が承認されました。現在の適応症は1種類ですが、現在、非小細胞肺がんについて申請中であり、20種類以上のがんについても臨床試験を進めています。2017年に創業300年を迎える際に承認を受けられているものが何種類となっているかはわかりませんが、ますますの発展をめざして、全社一丸となって取り組みを進めています。
利用の背景と目標
賃金制度の大幅な改定により、退職金・退職年金も見直しへ
退職金・年金制度コンサルティングの利用の背景を教えてください。
将来の財務・キャッシュへのインパクトの予測
製薬業界では、かつてはほとんどの会社が職能資格制度を採用していましたが、近年、職務等級に基づく制度へのシフトが進んでいます。小野薬品でも、職能資格制度を昭和58年から採用してきましたが、今般、従業員の職務・役割に基づく人事制度に改定することになりました。
酬という面では、退職金・退職年金もその一部に含まれます。賃金制度の改定に伴い、これまで最終給与比例制であった退職金・退職年金に関しても見直しが必要となり、退職金・年金制度コンサルティングを利用することになりました。
IICPにコンサルティングを依頼されたのはなぜでしょうか。
退職金の規程を改定するだけであれば、社内で対応することもできたかもしれません。しかし、確定給付企業年金(DB)、確定拠出企業年金(DC)など、年金制度が関わる部分については専門性が高いため、専門家によるサポートが必要であると考えました。
そんな折、賃金制度の改定を共に進めていたコンサルティング会社から、実績のある会社としてIICPを紹介していただきました。実際にお話したところ、担当の向井さん、金さんが信頼できるコンサルタントであると判断できましたので、人事・経理・経営企画の関係者で協議し、退職金・退職年金の制度改定に関するコンサルティングをIICPに依頼することにしました。
賃金制度をはじめ、他の人事制度の改定を進めながら、退職金・退職年金についても検討しなければならない状況でしたので、依頼先をスムーズに決定できて良かったと感じています。
ポイント制に移行、ポイント設計と移行時ポイントの確定が課題に
制度改定にあたっての目標や課題はありましたか
最大のポイントは、退職金の給付算定方式を最終給与比例制からポイント制へ移行するということでした。ポイント制を採用すれば、その時の役割・職務に応じて毎年ポイントを付与して累積し、累積されたポイントに応じて退職金が支払われるという制度になります。このため、新たな賃金制度と、もっとも考え方が合致しているのではないかと考えました。
また、確定給付企業年金(DB)において、受給権の確定年令を、それまでの55歳から定年に合わせて60歳にするという点も、今回の改定の目標のひとつでした。
制度改定において、コンサルタントのサポートが重要となった点はありますか。
特に重要だったのが、ポイント設計と移行する際のポイントの確定です。 これらの点については、正直なところ、私たちだけではきめ細かい設計は難しかっただろうと思っています。また、制度の設計に関わる点だけでなく、労働組合に説明する際の説明方法についても適切なアドバイスをいただけたので、交渉もスムーズに進めることができ、大変助かりました。
加えて、今回のプロジェクトは比較的短い期間でスピーディーに進める必要がありました。そのためには、無駄なく、最短で適切に対応していただかなければなりません。そうした状況においても、不明点などについてお伺いすると、質問の内容だけでなく、プラスアルファの部分を含めご回答いただけるので頼りになりました。きめ細かいフォローをいただいたおかげで、スケジュール面でも問題なく進めることができたので感謝しています。
成果と今後の課題・展望
制度改定の目標はすべて達成できた
コンサルティングの効果についてはどのように感じていますか。
制度改定にあたって目標としていた点は、適切にコンサルティングをしていただき、我々が考えていたポイントはすべて達成できました。7月から新制度の運用を開始していますが、特に社内で問題になるようなこともなく、今のところ順調です。
ポイント設計や移行時ポイントの確定だけでなく、過去の経緯により設けられていた代償措置部分も含めての移行や、財務面など、他の点に関しても問題なく進められたので、非常に助かりました。
今後の課題や展望についてお聞かせください。
退職金・退職年金だけではなく、賃金制度、評価制度など人事制度全体の大きな改定を行ないましたので、現在は従業員への周知・定着を図っていくということに優先して取り組んでいます。
今後の課題として考えているのは、60歳以降の雇用に関する見直し、またワーク・ライフ・バランスを意識した働き方の見直しといった分野です。
従業員が会社の制度を理解して、安心感を覚えること。そのことが従業員の活力となり、会社のパワーにつながればと考えながら、取り組みを進めています。
コンサルティングサービス、またIICPについて評価していただけますか。
今回の退職金・退職年金の制度改定においては、目標としていた点を達成でき、満足しています。そのうえで、IICPには専門家としての知見を活かしてご尽力いただき、感謝しています。
こうしたコンサルティングの実績や信頼感から、人事・経理・経営企画で協議の上、退職給付債務(DBO)計算についても依頼することとなり、すでに計算を委託しています。ひきつづき良いサービスをご提供いただきたいと思っています。
また、関連する情報をご提供いただいていることも役立っています。今後も良い情報や提案があれば、教えていただければうれしいですね。
※取材日時 2015年9月
※記載内容は、取材時点の情報に基づくものです。