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規制緩和で問われる金融機関窓口の対応力 今からできる備えとは? 前編

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規制緩和で問われる金融機関窓口の対応力 今からできる備えとは?  前編

国民年金や厚生年金保険といった公的年金を補完し、豊かな老後を送るために必要とされている私的年金。その 1 つである確定拠出年金は 2017 年に対象が拡大され、公務員や主婦 (夫) など職業にかかわらず 60 歳未満のすべての人が加入可能に。そしてまた、2019 年 7 月にも規制緩和が予定されている。その規制緩和のキモとは何か? それに合わせた『確定拠出年金の基本と金融機関の対応』出版の裏舞台とは? 経済法令研究会 編集者 中村桃香 氏と本書の著者であるIICパートナーズ 常務取締役 向井に語ってもらった。

—2019年7月 確定拠出年金運営管理機関の窓口対応が変わる

向井  2016 年に『金融機関のための改正確定拠出年金Q&A』という本を執筆させていただき、中村さんとのお付き合いも長くなりましたが、改めて経済法令研究会の事業内容を教えていただいてもいいですか。
中村  そうですね。特に金融機関の方々向けに、法務・財務・税務をはじめ、金融機関の実務に関する知識を高めるため、実務図書や定期刊行誌の発行、通信講座の開講や研修の実施、また銀行業務検定試験の実施やこれらに付随する業務などを行っています。

ご存知のとおり、これらにまつわる法律や制度は頻繁に改正されますが、金融機関職員の皆様には常に最新の情報を身に付けていただく必要があります。そのため、弊社では基本的な知識からアップデートされた情報までを書籍や研修、試験を通じてご提供しております。
経済法令研究会 編集者 中村桃香 氏

向井  職員の方も普段の業務を行いながら周りにアンテナを張り巡らせて情報のキャッチアップをするのはなかなか大変でしょうから、そこをサポートされているということですね。

今回、この『確定拠出年金の基本と金融機関の対応』を新たに出版させていただくことになったわけですが、御社の中ではどのような経緯で決まったのでしょうか。
中村  『金融機関のための改正確定拠出年金Q&A』は2016年に確定拠出年金法が改正されたタイミングに合わせて、金融機関の職員の方々向けに基礎的な知識を学んでいただきたい、ということで向井先生にご執筆いただきました。大変好評で、第二版を 2018 年 11 月に発刊しました。

2019 年 7 月に規制緩和が予定されており、今回は金融機関の窓口での対応が変わるということで、また向井先生にご執筆をお願いさせていただきました。
向井  前著の第二版は、初版の出版当時、法改正の具体的な取扱いが未定であったところが明らかになっていき、2019 年 7月 には商品説明の窓口対応が解禁されるということで、これらの内容を反映させて改訂したものでした。これに加えて新刊を出すことは、どのようなねらいがあるでしょうか。
中村  『金融機関のための改正確定拠出年金Q&A』は 100 ページほどの中冊子です。手にとっていただきやすい形ですし、金融機関の職員の方々が基礎的な知識を短期間で得ていただくのによい内容となっています。新刊の『確定拠出年金の基本と金融機関の対応』は、Q&Aではなく体系立てて基本から解説し窓口対応の解禁にあわせ、確定拠出年金についてより深く学びたいというニーズに応えることができるものをねらいとしています。

今回窓口対応が解禁された背景を改めて教えていただいてもいいですか。
向井  そうですね。金融機関で通常提供されている定期預金や投資信託などの金融商品に関しては、支店の窓口などで取り扱っている商品の説明を受け、その金融機関に口座を開いて直接入金したり購入することができます。

でも、確定拠出年金ではお客さまの窓口となるのは「運営管理機関」であり、商品を提供する金融機関とは別の立場になります。実態としては、運営管理機関として提示する確定拠出年金の商品ラインナップは自社の定期預金や自社が販売会社となっている投資信託がほとんどですが、運営管理機関の本来の役割は、加入者 (お客さま) と商品を販売する金融機関の間に立ち、加入者の利益を最優先に考えて商品の選定や提示、説明をすることにあります。ですから、取り扱い商品に対して自社や第三者の利益からは中立的な立場を取らないといけない。

そのような立て付けがあるため、確定拠出年金の商品説明は専任の職員しかしてはいけないことになっていて、通常の支店の窓口などに配置されている営業職員は、加入手続きの説明はできても、加入者に対して商品の中身について説明してはいけないことになっていた。お客さまが商品内容について知りたくて窓口で聞かれても、職員は「コールセンターに電話しください」と言うしかなかったんです。
退職金専門家 向井洋平 氏

中村  それはお客さまからすれば、手間がかかりますね。
向井  そうですね。中立性は保たなければならないけど、確定拠出年金を広めていくにはお客さまの利便性も改善する必要がある。今までのやり方はあまりにも実態にそぐわないので、そこを改正しましょう、ということで、一般の窓口でも確定拠出年金の商品説明ができるように“緩和”されたというわけです。
中村  それが 2019 年 7 月に施行される、という。
向井  そのとおりです。
中村  商品の説明までしかできないのでしょうか。
向井  そうですね、解禁されたのは説明までです。お客さまに「どの商品がいいのか」と聞かれても、個別の商品を推奨したり助言することは禁じられています。ですから、金融機関としてはどこまで話してよいのか、どこからはアウトなのかという対応の線引をしっかりしておく必要がありますね。

正直、この本を書くときも、そこの線引きを考えたときに、お客さまへの対応で金融機関の職員として実際どこまで説明すべきなのかというところは難しいと感じました。

—『確定拠出年金の基本と金融機関の対応』出版の舞台裏

中村  『確定拠出年金の基本と金融機関の対応』では、全部で 3 章に分けてご執筆いただきました。1 章は確定拠出年金の基礎知識、2 章は個人のお客さまへの対応、3 章は法人のお客さまへの対応についてまとめられています。

私共としては、規制緩和される前に金融機関で窓口を担当される職員の方々に、早めに本書をお読みいただき、その対応方法なども学んでいただければ、と思っています。
向井  そのために去年は執筆作業に追われましたけどね (笑)。

中村 

おかげさまで、図表入りのとても理解しやすい本になるのではないかな、と思っています。文章だけでは複雑な確定拠出年金の知識について、見ただけで頭に入るよう、図解してくださって。

向井 

途中で、「オペレーターが作図 (いわゆる清書) するのに時間がかかるので、図だけ先に送ってもらえませんか」と言われたときにお断りしてしまいましたね。

中村 

今思えば、ご無理を申し上げてしまったな、と (笑)。

確定拠出年金の基本と金融機関の対応
向井  どういう図表ならわかりやすいだろうか、と本文と同時進行で考えていたので、「図だけ先に」というわけにはいかなかったんですよね。
中村  そうですよね。

向井先生のわかりやすい図表は、この本の一つの特徴だと思います。そして、本文にリンクしているため、ページを行ったり来たりしなくて済むのが、さらに読者にとって理解しやすいのではないかと。
向井  そうですね。レイアウトに関しても見やすくなるように工夫していただきました
『確定拠出年金の基本と金融機関の対応』出版の舞台裏

中村  それから、丁寧に図表の原稿をご作成いただいたため、オペレーターもそこから作図しやすい、と申しておりました。

全 3 章中、約 100 もの図表を考えてくださった向井先生には、感謝しかございません。
向井  普段の業務をしながらだと皆さん忙しいでしょうから、短い時間ですっと理解していただけるのであれば、これほどうれしいことはありません。

次回、金融機関と確定拠出年金を取り巻く現状や課題について語ります。
規制緩和で問われる金融機関窓口の対応力 今からできる備えとは? 後編」に続く。

※取材日時 2019 年 1 月
※記載内容は、取材時点の情報に基づくものです。

向井洋平 著『確定拠出年金の基本と金融機関の対応』好評発売中

2019 年 7 月より、従来実質的に対応が困難であった金融機関の窓口における確定拠出年金の運用商品の提示や説明が解禁され、金融機関行職員がその場で対応することができるようになります。そのため、確定拠出年金の業務に携わる金融機関行職員は制度の仕組みを正確に理解したうえで、個人および法人のお客様が制度を有効に活用できるようにするための対応力が求められます。

基本的な知識からお客様への対応までをわかりやすく説明し、確定拠出年金の業務に携わる方々の一助となる一冊です。

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