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「人生100年時代」人事が見据えておくべきこと 前編

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「人生100年時代」人事が見据えておくべきこと  前編

これまでの 60 歳で定年を迎えて引退する時代から生涯現役の時代へと変化していく中で、従業員の教育から退職、さらにその先に至るまでの流れが変わろうとしている。まもなく到来すると言われる「人生 100 年時代」を見据えて、これからの人材育成や人事制度はどうあるべきか? 人事制度設計や教育支援をおこなうセレクションアンドバリエーション 代表取締役社長 平康慶浩 氏と 退職金専門家である IICパートナーズ 常務取締役 向井 に語ってもらった。

向井  今回は人事制度の設計や教育支援をおこなわれているセレクションアンドバリエーション 代表取締役社長の平康さんをお訪ねしました。これまで 10 冊近くの著書があり、グロービスでは准教授として人材マネジメントについて講義されています。
平康  向井さん、ご紹介ありがとうございます。他には NPO と一般社団法人の理事を務めています。NPOの方は人事コンサルタント協会というもので人事コンサルタントがどのようなスキルや知識を持つべきかという資格制度にして提供しています。一般社団法人は高度人材養成機構といいますが、これからの人生100年時代の中で、一つの会社にとどまらない働き方が主流になってくるだろうと考え、そのような働き方をする高度人材を養成するために様々な取組みをしています。
向井  平康さんが代表を務められているセレクションアンドバリエーションはどのようなことをされていますか?
平康  人と組織の成長を当たり前にするということをベースにして、評価報酬の仕組みと教育の仕組みを変えることで、人材の行動変化を促して、会社が求めるゴールを達成するようなご支援をしています。ですから、事業内容は、仕組みづくりと運用のご支援の二つに大きく分かれています。
向井  平康さんとはもう 8 年ほどのお付き合いになりますかね。セレクションアンドバリエーションの設立はいつぐらいですか?
平康  法人設立は 2006 年なんですが、実際に独立したのは 2010 年です。三井住友系の日本総合研究所を退職して最初は個人で活動していました。
向井  それくらいの時期に初めてお会いしたんですね。独立されたきっかけや経緯は何ですか?
平康  よく笑いを取るネタでいうと、独立した当時はタバコを吸っていたので、仕事しながらタバコ吸いたい。タバコ吸いながら仕事したいなって(笑) 今はもうタバコはやめてしまったので、まあだからこそ言える話ですが。まじめに答えると、いずれ必ず独立するつもりだったんです。それは、お客さまのニーズにあわせてさらに深くご支援するためです。けれども、大手の会社に属していると会社の方向性と合わない場合にはできない支援もある。自分が考えるお客さまへの支援をするためには、自分で作った会社でないと難しいところがあったというのが主なきっかけですね。

—人生100年時代とは?

平康  人生 100 年時代は、リンダ・グラットンさんが『WORK SHIFT (ワーク・シフト)』『LIFE SHIFT (ライフ・シフト)』というベストセラー本の中で提唱されたキーワードですけど、今の時代に生まれた子供は 100 歳以上は生きるでしょうと。社会の発展によって、純粋に寿命が延びていますが、寿命が延びていることと社会の仕組みのミスマッチが生じ始めています。それが働く私たちにとって、かなり大きな影響を与えるだろうとクローズアップされて、内閣府、経産省なども「人生100年時代」を意識するようになったという状況です。要約すると、純粋に寿命が延びているが社会の仕組みが追いついていないので、その状況に対して調整が必要となっているということです。
向井  人生 100 年時代の中での退職金を考えてみても、寿命を考えて退職金を設定している会社というのはあまりないと思いますね。企業年金で終身年金を設けている場合もありますが、本当に寿命が 100 年とかになってきたときに維持できるのかっていうと難しいだろうなと。だから、終身年金をやっている会社は本当に少なくなりましたね。

平康 

たとえば関西の大手でいうと、パナソニックなどは、終身年金でしたっけ?

向井 

年金受給者の方は終身年金をもらっていますけど、現役の方は DC(確定拠出年金)か前払いですね。一度、終身年金を設けると、もう貰い始めてる方に対して「やめる」というのはなかなか難しいので、そこはそのまま残しておいて年金基金は基本的にOB・OGの方に年金を払うだけの組織になっています。

平康 

そういった意味では、退職するまでの領域と退職後の領域のバランスを今後どうしていくかということを考えていかざるを得ないと思うんですよね。

「人生100年時代」人事が見据えておくべきこと
向井  国と会社と個人の年金制度を野球の継投策にたとえて、長く働く (Work longer)、私的年金 (Private pensions)、公的年金 (Public pensions) の WPP で行くべきだという方もいらっしゃいます。国の年金の上に企業年金がある構造ではなく、まず長く働く。それでも退職後から国の年金を貰い始めるまでに間があるので、セットアッパーとして企業年金があると。
平康  公的年金の受給開始はやっぱり 75 歳くらいからになる可能性もあるんでしょうか?
向井  そうですね、本当にみんなが 100 年生きる時代になってくると 75 歳くらいの受給開始を選ぶのが普通になってくるかもしれないですね。そうなると、企業年金や退職金は退職から公的年金受給開始までの 5 年、10 年の間の資金を十分な水準で確保できるような設計になっていくでしょうし、そちらの方が現実的で効率的になるのかなと思います。
平康  人生 100 年時代というのは、いつまで働くのか、国から年金もらうのはいつからなのか、その間はどうするのか、というバランスが重要ということになりますね。

次回、人生100年時代での企業と個人のあり方について語ります。
人生100年時代 人事が見据えておくべきこと 後編」に続く。

※取材日時 2018年12月
※記載内容は、取材時点の情報に基づくものです。

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