改正高齢者雇用安定化法に伴う退職給付(企業年金・退職金)制度の改定 -3- 雇用延長と人事政策
掲載日:2014年4月2日
雇用延長と人事政策~政策に応じた選択肢~
※旧定年での打ち切り支給も考えられる
雇用延長と人事政策
改正高年齢者雇用安定化法について、企業が継続雇用制度により対応する場合は旧定年で正社員としての雇用が終了し、従来通り退職金を支給することとなります。
一方、仮に定年延長する場合であっても、人事政策上、旧定年を超える雇用に関して従来の正社員としての処遇を行わない場合には、退職金制度を改定せずに旧定年で退職金を精算(または年金受給資格発生)することも考えられます。
但し、以下の点に留意が必要です。
・旧定年での退職金支給に対し、退職所得控除が認められるか(事前に税務当局等へ確認)
・退職金の支給により旧定年以降の勤務に対するモチベーションに影響が出ないか(定年延長との人事政策上の整合性)
定年延長と人事政策 ~給与カーブに関して~
終身雇用を前提とした従来の日本企業では、給与は年齢とともに上昇し、ある年齢前では貢献>給与、その年齢以降では貢献<給与となり、勤続期間の全体で貢献と給与が見合うように設計されているのが一般的です。
但し、社員のパフォーマンス如何によって、勤続期間全体であっても貢献と給与が等しくない、という事は起こり得ます。これに対し、一定年齢以上の給与を下げることによりこの傾向を是正するというのは、よくみられる対応です。
しかしながら、この度の法律改正によって、これまでの定年年齢を超えて雇用する場合には、新たな対応を検討する必要が出てきます。
貢献に見合った給与を支払うために、給与水準を改定する。あるいは給与を改定してもなおそれに見合う貢献が期待できる業務を付与できない場合は、旧定年より前から給与カーブを下げるよう制度を改変する、といった対応が考えられるでしょう。
但し、すでにpay for performanceが確立している企業にあっては、その思想を崩さず旧定年以降も貢献に見合った給与制度を適用すればよいと言えます。
退職金制度の場合には、支給率の伸びや、ポイントの付与を給与に置き換えた上で、同じ考え方をあてはめることができます。
次回は本シリーズの最終回として、退職給付制度の改定について解説します。