給付算定方式の比較 -1- 定額制、給与比例制、ポイント制の特徴とは
掲載日:2014年10月6日
給付算定方式の説明
(1) 定額制
給与やポイントと言った要素がなく、勤続年数或いは年齢に応じて給付額が決まるような制度です。
(2) 給与比例制度
給付額が「給与×係数」のような形で計算されるような制度です。さらに使用する給与によって次の2種類に分けられます。
最終給与比例制
給付の算定に使用する給与として退職(又は退職前の一定年齢)時の給与を用いる方法です。単に給与比例制と言った場合にはこの制度を指すことが多いです。
平均給与比例制
給付の算定に使用する給与として入社から退職時までの全期間又は一定期間の平均給与を用いる方法です。また、使用する給与について、賃金テーブルとは別に退職金の算定用給与を設けるようなケースもあります。
(3) ポイント制
退職金算定用のポイントを設定し、そのポイントの退職時までの累積額を算定基礎として退職金を算出するような制度を指します。一般に退職金算定用のポイントの構成要素としては、勤続年数、職能資格、役職、評価等があります。退職時の状態だけではなく、各期の資格、評価等を適切に退職金へ反映させる事が可能です。
各方式の賃金との連動性
次に給付算定方式と賃金との連動性について見てみたいと思います。まず、賃金と連動する制度とそうでない制度を分類すると以下の通りです。
賃金と連動 | 給与比例制 |
賃金と連動させない | 定額制、給与比制(別テーブル)、ポイント制 |
賃金と連動させると…
ベースアップが反映される給与を使用している場合には自動的に退職金にもベースアップが反映されます。これによって、退職給付の実質価値を維持出来る半面、ベースアップによる給付の増加も自動的に反映される事になります。
賃金と連動させないと…
賃金と退職金を切り離した設計が可能になります。ベースアップの影響は連動させた場合と逆に、ベースアップが退職給付に反映されないため調整を行わなければ退職給付の実質価値が下がる可能性があります。ただ、ポイント制の場合はポイント単価を調整する事で実質価値の維持を行う事が可能です。
次回は各給付算定式の性格を簡単なグラフを使って解説します。