企業型確定拠出年金の運用商品の選定 Selection
企業型確定拠出年金(DC)では、加入者本人が運用の方法を選択することとなりますが、その選択の幅を確保するため、最低でもリスク・リターン特性の異なる3つ以上の運用商品を用意する必要があります。一方で、選択肢が多すぎることで適切な選択が困難になることを避けるために、運用商品数の上限は35本と定められています。
企業型確定拠出年金の運用商品の選定
運用商品の選定にあたっては、加入者等が真に必要なものに限って選定されるよう、運営管理機関と労使が、以下の点に留意し、十分に協議・検討を行うこととされています。
- 運用商品全体のラインナップが加入者等の高齢期の所得確保の視点から見て、バランスのとれたものであること。
- 加入者等の効果的な運用に資するよう、個々の運用の方法の質(手数料を含む。)を十分吟味し、その選定理由を説明すること。
また、加入者への運用商品の提示にあたっては、個々の運用の方法の選定理由に加えて運用の方法の全体構成に関する説明を行うとともに、例えば「商品の区分を示す」「客観的事由に基づき運用商品を括る」「運用商品一覧の中において手数料を示す」といった工夫を行うこととされています。
指定運用方法の設定
企業型確定拠出年金(DC)では、加入者が自ら主体的に運用商品を選択する(運用指図を行う)のが原則ですが、運用指図を行わない加入者が一定数存在することから、DCでの長期的な運用にふさわしい商品を1つ選定し、「指定運用方法」として定めることが認められています。
この場合、「特定期間」を3ヶ月以上の期間で、「猶予期間」を2週間以上の期間で、それぞれ定めておく必要があります。
指定運用方法が定められると、初回の掛金納付時期から特定期間を経過しても運用指図を行っていない加入者に対して、指定運用方法として定められた商品や、その商品が自動購入されるまでの猶予期間等が通知されます。
さらにその後猶予期間を経過してもなお運用指図が行われないときには、指定運用方法の商品が選択されたものとみなされ、自動的に購入されます。
DC実施企業のうち指定運用方法を設定している割合は2~3割程度であり、指定運用方法に選定されている商品は預金や保険商品などの元本確保型商品が多くなっていますが、バランス型やターゲットイヤー型の投資信託商品を選定している企業もあります。
なお、DCの運用で得られた収益については非課税となっており、通常の預金や金融商品への投資と比べて大きな優遇措置が設けられています。
本来は、DCの資産は積立金の残高に対して一定の率で課税する「特別法人税」の対象となっていますが、特別法人税は経済環境等を勘案して1999年以降は凍結されており、2001年に創設されたDC制度では実際には一度も課税されたことはありません。
【制度改正の動向】
特別法人税はDCだけでなく、すべての企業年金制度の積立金を対象とした税であり、その税率は1.173%と非常に重いものとなっています。特別法人税の撤廃は企業年金関係者の強い要望ですが、凍結措置の延長が2~3年ごとに繰り返されている状況です。
現在の凍結期間は2020年3月までであり、2020年4月以降再び延長される見込みとなっています。