第2回 人事ワーキング報告書
日本企業におけるジョブ型人事を考える
日日本では高度経済成長期より、新卒一括採用、年功序列の賃金、終身雇用などを特徴とした「日本型雇用」が多くの企業で採られてきました。しかし、近年、社会や経営環境の変化により、働き方の多様化、社員の専門性の高度化、グローバル化などへの対応のために、一部の企業で「ジョブ型人材マネジメント/ジョブ型人事制度」(以下、ジョブ型)が導入されてきました。
また、2019年からの新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が発令される中、多くの企業でテレワークや時差出勤が進むなど社員の働き方が大きく変わってきました。これまで、同じ場所、同じ時間に働くのが当たり前だった環境から、場所も時間も離れて働くことになり、互いの仕事が見えづらく、業務管理や評価を適切に行うことが難しくなっています。このように変化した働き方により合う制度として、今、ジョブ型の必要性が語られる機会が増えています。
戦略的人事構想会議では、2021年1月にカゴメ株式会社、株式会社日立製作所、株式会社資生堂の3社、法政大学 諏訪康雄名誉教授をお招きし、「『カゴメ・日立・資生堂』ジョブ型導入中の3社が語る、人材マネジメントの未来と課題」と題し、ジョブ型導入中の企業3社にその取り組みや学術的研究を発表いただくシンポジウムを開催しました。さらに、このシンポジウムを受けて、ジョブ型について、企業人事同士が、議論・交流する場として、ワーキング・グループを発足させました。
ワーキング・グループは、「①参加した人事の方が社内(施策立案)に還流する」、「②ワーキングを通して議論した解決の方向性を発信する」ことを目的とし、2021年6月から2021年9月にかけて全6回にわたって実施しました。趣旨に賛同した7 社が参加し、前半は各社における取組状況や課題についての発表が行われ、後半は前半に取り上げられたテーマについてさらに議論を深めてきました。
本報告書では、欧米企業を中心とする海外でのジョブ型事例や“あるべき論”としてのジョブ型ではなく、実際に日本企業としてジョブ型を導入中、あるいは導入検討中である企業による議論の内容をご紹介します。本報告書が今後ジョブ型の導入を検討されている企業人事の皆様にとっての一助となることを期待しています。
最後に、今回の企画趣旨に賛同し、貢献いただいた参加メンバーの方々に深く感謝申し上げますとともに、今後の益々のご発展とご健勝を祈念いたします。
ワーキング・グループ 参加企業 (五十音順)
株式会社アップ
アステナホールディングス株式会社
株式会社資生堂
シミックソリューションズ株式会社
スカパーJSAT株式会社
株式会社SUBARU
住友金属鉱山株式会社
三井化学株式会社
戦略的人事構想会議
株式会社ライフワークス コンサルティング事業 統括ゼネラルマネージャー 兼 シニアコンサルタント 野村圭司(ファシリテーター)
株式会社アクティブ アンド カンパニー 常務取締役 八代智(サポーター)
エッセンス株式会社 執行役員 プロパートナーズ事業 事業部長 吉水文哲(サポーター)
クミタテル株式会社 代表取締役社長 向井洋平(サポーター)
続きの内容は、以下報告書にてご覧いただけます
報告書 目次
- はじめ
- 対話テーマ1 なぜ、ジョブ型への移行が望まれるのか?
- 対話テーマ2 日本の教育・雇用慣行・解雇法理にジョブ型はマッチするのか?
- 対話テーマ3 ハイブリット型ではジョブ型とメンバーシップ型をどう活用するか?
- 対話テーマ4 ハイブリッド型を参加各社に当てはめるとどうなるか?
- 対話テーマ5 ジョブ型は誰のための制度・仕組みなのか?
- 対話テーマ6 ジョブ型(ハイブリッド型)を機能させるために求められることは何か?
- まとめ 日本企業におけるジョブ型の活用の仕方
- 人事ワーキングに参加して 参加メンバーからのコメント
- おわりに 戦略的人事構想会議について